845.ネギま!「353時間目」ちょこっと感想
今回は、かつてない程のダメ回。
この記事は週刊少年マガジン2012年第13号「魔法先生ネギま! 353時間目」を元にしています。
タイムトラベルの真実は今のところ相対性理論と原田真二の歌くらいしかないが、SFではいくつかの定番が確立されている。
古くは「ループ」パターン。問題を解決するために過去に行ったはずなのに、実はそれ自体が問題発生の要因になっていたという場合が多い。「ドラえもん」初期の頃にも深夜にのび太の部屋を横切った人影が実は数分後の自分達で、数分毎に過去と未来の自分達が入り混じって大混乱、ってな話が描かれている。
このパターンの場合、時間軸は絶対的存在であり、自由に過去と未来を行き来できたところで決して歴史を変えることは出来ない。噺としては因果応報というオチにしか行き着かないので、落語のオチとしてはまあまあだが本格SF作家気取りの漫画家には敬遠された。前述のドラえもんの話もタイムループを逆手に取ったシニカルな一編に過ぎない。
変わって現在支配的なのがパラレルワールド論。時間跳躍した瞬間から元の時間軸とは分岐した世界が始まると言うもの。ドラえもんも基本的にはこの世界観で描かれているため、「のび太がしずちゃんと結婚した世界」「ジャイ子と結婚した世界」がどちらも存在している。
パラレルワールド論に則して「ネギま!」での超に着目して時間軸を追うと、以下のようになる。
①時間軸Aにおいてネギの子孫として生まれる
②魔法世界の崩壊を防ぐため、過去に飛ぶ(時間軸B発生)なお「超が過去に行ったあとの世界」は時間軸Aのままである。時間軸Aの世界が超(的存在)が戻ってくる世界なのか行ったきり戻って来ない世界なのかは残った者にしかわからない。
③留学生として麻帆良学園に潜入(物語開始以前)
④現代社会に魔法の存在を知らしめようとして失敗、未来に戻るというていで去る(時間軸C発生)ここで重要なのは「パラレルワールド論」の範疇では決して超は時間軸Aには戻らないということ。ただし超の帰りを待つ人々がいない世界という意味では無い。超にとっては見慣れた世界であってもそれはあくまで新たに発生した時間軸なのである。(※作中における図とは必ずしも一致しません。)
⑤渡界機により明日菜のいる世界(=時間軸B)に復帰(今ここ)
さて、超の戻った時間軸Cでは魔法世界はどうなっていたのだろう。”全てだった”ハズの計画は果たせなかったものの、去り際の言葉「私の望みは既に達せられた」をポジティブに解釈すれば即ち”計画通り”、超の戻る世界は最悪の自体を回避した未来が開けているはずである。超の現在の様子からもそれは伺える。もっとも渡界機なんてものがあればどんな未来も思いのままなのだが。
逆に言えば超が救ったのは自分自身が往く道のみであり、無数の救われない世界が存在し得る以上、自己満足に過ぎない。夕映が言ったように「彼女のエゴ」である。だがそれでいい。タイムトラベルものの主人公は壮大な自己満足と言う名のロマンに読者をも巻き込んで酔わせてくれればいいのであり、それが創造神気取りの漫画家たちのお仕事である。
だが、この物語の真の主人公、明日菜はどうだろうか。「ネギま!353時間目」は読者を納得させたか。私は大いに不満である。タイムトラベル以外の部分も含めて、不満点は3つある。
①エヴァが永遠の存在になってしまった
・・大概の伏線は放置しても構わないが、「魔法世界編」の後がある以上、最後は卒業式でなくエヴァの顛末であって欲しかった。単に「登校地獄からの開放」ではなく、「人に戻る」と言う意味で。それはネギとのパクティオーをも意味する。
②渡界機の存在
・・ご都合主義に文句をつけたいわけではない。平行世界の移動は超の発明ではなく、ザジが渡した小動物の能力ということにしておけば、絶妙の伏線回収であるとともに、金星編(魔界編?)へ発展させることも可能だったはず。美空家最後のパスも台無しである。
③ネギや明日菜自身が頑張って救った世界(時間軸B)を軽く投げ出して、新たな時間軸(D)を発生させてしまった。
・・ぼくらが見守ってきた時間軸Bのネギくんは死んだ。何故だ!?坊やだからか?(赤松健が)。とは言え、主人公にしてタイムトラベラーの明日菜にとっては時間軸Dのネギが真実のネギである。そのエゴは許す。足りないのは「世界よりもネギ優先」という熱さである。ネギの好きな子を聞き出して冷やかしている場合じゃないだろう。加えてタイムリープも他力本願である。前回の感想でも書いたが、ジェラシーパワーで自ら時を越え、ネギにツッコミに行くのなら許せる。ネギが誰かを選ぶのではなく、主人公がネギを奪うのである。
④なぜかネギの思い人の話題をまた蒸し返した
・・これは不満というよりは疑問である。体育祭編でうやむやにした話題をなぜここで蒸し返す?結局うやむやで終わるのなら蛇足すぎる。・・・ということは、一周回って次回(または最終回)で告白と言うフラグか?
ちなみに今回、明日菜の反応から見て、ネギが「アスナさん」と耳打ちした可能性は十分にあると玄人気取りの読者(オレ)は思うのだがどうだろうか?
まさに”軸がブレ”まくりの353時間目だった。
この記事は週刊少年マガジン2012年第13号「魔法先生ネギま! 353時間目」を元にしています。
タイムトラベルの真実は今のところ相対性理論と原田真二の歌くらいしかないが、SFではいくつかの定番が確立されている。
古くは「ループ」パターン。問題を解決するために過去に行ったはずなのに、実はそれ自体が問題発生の要因になっていたという場合が多い。「ドラえもん」初期の頃にも深夜にのび太の部屋を横切った人影が実は数分後の自分達で、数分毎に過去と未来の自分達が入り混じって大混乱、ってな話が描かれている。
このパターンの場合、時間軸は絶対的存在であり、自由に過去と未来を行き来できたところで決して歴史を変えることは出来ない。噺としては因果応報というオチにしか行き着かないので、落語のオチとしてはまあまあだが本格SF作家気取りの漫画家には敬遠された。前述のドラえもんの話もタイムループを逆手に取ったシニカルな一編に過ぎない。
変わって現在支配的なのがパラレルワールド論。時間跳躍した瞬間から元の時間軸とは分岐した世界が始まると言うもの。ドラえもんも基本的にはこの世界観で描かれているため、「のび太がしずちゃんと結婚した世界」「ジャイ子と結婚した世界」がどちらも存在している。
パラレルワールド論に則して「ネギま!」での超に着目して時間軸を追うと、以下のようになる。
①時間軸Aにおいてネギの子孫として生まれる
②魔法世界の崩壊を防ぐため、過去に飛ぶ(時間軸B発生)なお「超が過去に行ったあとの世界」は時間軸Aのままである。時間軸Aの世界が超(的存在)が戻ってくる世界なのか行ったきり戻って来ない世界なのかは残った者にしかわからない。
③留学生として麻帆良学園に潜入(物語開始以前)
④現代社会に魔法の存在を知らしめようとして失敗、未来に戻るというていで去る(時間軸C発生)ここで重要なのは「パラレルワールド論」の範疇では決して超は時間軸Aには戻らないということ。ただし超の帰りを待つ人々がいない世界という意味では無い。超にとっては見慣れた世界であってもそれはあくまで新たに発生した時間軸なのである。(※作中における図とは必ずしも一致しません。)
⑤渡界機により明日菜のいる世界(=時間軸B)に復帰(今ここ)
さて、超の戻った時間軸Cでは魔法世界はどうなっていたのだろう。”全てだった”ハズの計画は果たせなかったものの、去り際の言葉「私の望みは既に達せられた」をポジティブに解釈すれば即ち”計画通り”、超の戻る世界は最悪の自体を回避した未来が開けているはずである。超の現在の様子からもそれは伺える。もっとも渡界機なんてものがあればどんな未来も思いのままなのだが。
逆に言えば超が救ったのは自分自身が往く道のみであり、無数の救われない世界が存在し得る以上、自己満足に過ぎない。夕映が言ったように「彼女のエゴ」である。だがそれでいい。タイムトラベルものの主人公は壮大な自己満足と言う名のロマンに読者をも巻き込んで酔わせてくれればいいのであり、それが創造神気取りの漫画家たちのお仕事である。
だが、この物語の真の主人公、明日菜はどうだろうか。「ネギま!353時間目」は読者を納得させたか。私は大いに不満である。タイムトラベル以外の部分も含めて、不満点は3つある。
①エヴァが永遠の存在になってしまった
・・大概の伏線は放置しても構わないが、「魔法世界編」の後がある以上、最後は卒業式でなくエヴァの顛末であって欲しかった。単に「登校地獄からの開放」ではなく、「人に戻る」と言う意味で。それはネギとのパクティオーをも意味する。
②渡界機の存在
・・ご都合主義に文句をつけたいわけではない。平行世界の移動は超の発明ではなく、ザジが渡した小動物の能力ということにしておけば、絶妙の伏線回収であるとともに、金星編(魔界編?)へ発展させることも可能だったはず。美空家最後のパスも台無しである。
③ネギや明日菜自身が頑張って救った世界(時間軸B)を軽く投げ出して、新たな時間軸(D)を発生させてしまった。
・・ぼくらが見守ってきた時間軸Bのネギくんは死んだ。何故だ!?坊やだからか?(赤松健が)。とは言え、主人公にしてタイムトラベラーの明日菜にとっては時間軸Dのネギが真実のネギである。そのエゴは許す。足りないのは「世界よりもネギ優先」という熱さである。ネギの好きな子を聞き出して冷やかしている場合じゃないだろう。加えてタイムリープも他力本願である。前回の感想でも書いたが、ジェラシーパワーで自ら時を越え、ネギにツッコミに行くのなら許せる。ネギが誰かを選ぶのではなく、主人公がネギを奪うのである。
④なぜかネギの思い人の話題をまた蒸し返した
・・これは不満というよりは疑問である。体育祭編でうやむやにした話題をなぜここで蒸し返す?結局うやむやで終わるのなら蛇足すぎる。・・・ということは、一周回って次回(または最終回)で告白と言うフラグか?
ちなみに今回、明日菜の反応から見て、ネギが「アスナさん」と耳打ちした可能性は十分にあると玄人気取りの読者(オレ)は思うのだがどうだろうか?
まさに”軸がブレ”まくりの353時間目だった。
コメント
個人的には、あと2話もあるんだし、今回の話は丸ごと誰かの夢オチで、現実(?)はもっととんでもないことになっていた…というくらいの仕掛けが欲しいところだ。赤松健がこの程度とは思いたくない。
むむむ、時間軸の話は自分のブログに取っておくとして。
蒸し返しは意味不明でしたな。
その辺も含めて続編あるかな?とも思いますけど。
耳打ちが「アスナさん」だと、すでに告白なので、
世界樹の下で”宣言”になるかと。
結局明かさない気がします。
蒸し返しは意味不明でしたな。
その辺も含めて続編あるかな?とも思いますけど。
耳打ちが「アスナさん」だと、すでに告白なので、
世界樹の下で”宣言”になるかと。
結局明かさない気がします。
この3人が赤松健より年上である以上・・・
坊やがダメダメならオイラが本気出す。
ちん○に毛が生えた漢の生きざま見とけ!
・・その前にキルミーベイビー観ていい?
ちん○に毛が生えた漢の生きざま見とけ!
・・その前にキルミーベイビー観ていい?
通りすがりですが・・・
明日菜はモノを深く考えないたちなので今回は大事になっていませんが今回の事は相当なヤバい事のように思えます。私たちが今まで愛して来たネギまという漫画の主人公である彼はいなくなりその彼と同じ名前で同じ境遇で育ち同じ心を持ち同じ姿形をした人がそこにいるという感じに思えてなりません・・・
この続きは記事847で。
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